ゼロ金利 ー 資本主義を卒業(水野和夫)、成長の限界(的場昭弘)

すっかり定着した感もあるゼロ金利は、資本主義とは相性が悪い。商品やサービスを生み出す資本(設備やお金)が、利潤を得て自己増殖するのが資本主義の仕組み。資本の増殖率を測るのが、利潤率=利子率。ゼロ金利が長期化するということは、資本の増殖が止まるということだ。背景に、商品やサービスが行き渡り、すでに供給過剰になっていることがある。現在が最も豊かで、投資をこれ以上する必要がなく、既存の資本で十分だとなり、資本の自己増殖を目指す資本主義も必要なくなるのだ。 いったい利子はどこから生まれるのだろうか? お金を貸せば利子が生まれることは、少なくとも現在のわれわれには一般的常識だ。 だがその金利がゼロというのはどういうことか。 それは、資本が自己増殖を続ける資本主義経済で、資本があり余った状態、つまり資本主義が新しい段階に入る胎動を示しているのかもしれないのだ。